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天野 由記; 岩月 輝希; 井岡 聖一郎*; 笹尾 英嗣
原子力バックエンド研究, 14(1), p.61 - 67, 2007/12
微生物は地下の酸化還元環境の形成及び維持にどのような影響を及ぼすのだろうか?日本原子力研究開発機構では、「水-岩石(有機物)-微生物」システムにおいて微生物を考慮に入れた岩盤の酸化還元緩衝能力の評価を試みている。本報告では、微生物影響の評価のために実施した天然環境調査の結果を紹介するとともに、今後の課題を示した。
井田 真人; 二川 正敏; 粉川 広行; 木村 英雄; 直江 崇; Ahmed, B.*
no journal, ,
J-PARC水銀ターゲットの開発で重大な課題となっているキャビテーション壊食の抑制に関し、原子力機構で試みている種々の計算科学的アプローチと、それによって得られた結果のうち、特に水銀中にあらかじめ混入させたガス気泡がキャビテーション初生に与える効果について議論した例を紹介する。
前原 直; 森山 伸一; 三枝 幹雄*; 杉本 昌義
no journal, ,
国際核融合材料照射施設(IFMIF)では、電流125mAの重陽子ビームの0.1MeVから5MeVまでの前段加速器として175MHzの4ベーン型RFQを採用し、RFQの全長が12.5m必要となる。RFQの軸長さが長くなった場合、軸方向の高次モードが運転モードに影響を与えるために、空洞結合板を挿入して最適な軸長さで分割する必要がある。空洞結合板1枚を挿入した系における電磁界解析では、運転モード及び高次モードが結合板を介してキャビティの位相が90反転する新たな反転モードが励起することが判明した。そこで高次モード及び反転モードを抑制する空洞結合板の構造設計を行い、RFQ軸長さに対する近接条件の依存性を明らかにした。この結果、RFQの軸長さを約2倍(8m)に長軸化することが可能であることが判明した。さらに空洞結合板を2枚挿入して3分割した系における解析では、分割した軸長さ間で反転モードが異なる複合反転モードが励起することが新たに判明したが、RFQ軸長さを9m以上とする長軸化が可能であることを明らかにした。
増住 考志; 月森 和之; 渡士 克己
no journal, ,
地震時の機器配管の健全性評価を行い「もんじゅ」の安全・安定運転を支援(地震発生時の初動対応,活動方針,活動体制決定など)することを目的として、地震発生後、短時間で地震により発生する応力強さを推定し、許容応力値と比較することで、各評価部位の裕度を近似的に求め、それを視覚的に表示させるシステムを開発した。
永井 崇之; 上原 章寛*; 藤井 俊行*; 山名 元*; 白井 理*; 佐藤 修彰*
no journal, ,
NaCl-2CsCl共晶塩,LiCl-CsCl混合塩中におけるUの紫外可視近赤外吸収スペクトルを測定した。Uスペクトルに与える溶融塩の温度及び組成による影響について報告する。
小林 嗣幸
no journal, ,
金属電解法で発生した使用済溶融塩中のTRUを向流多段抽出によって液体金属中に回収する場合の分離性能に関する新たな理論的検討を実施した。洗浄ステージの効果について検討した結果、抽出ステージが4段程度以下の場合すべてを抽出ステージとした方が除染係数(DF)が高いことが判明した。使用済塩中のTRU濃度については、濃度が高い方がDFが大きくなることや4段程度の段数ではPuとNp, Am, Cmの相互分離は難しいことがわかった。
渡部 陽子; 木名瀬 栄; 斎藤 公明
no journal, ,
体内に摂取された放射性核種の一部は尿中に排泄されるため、膀胱の線量評価は重要である。より正確な線量評価を行うために、膀胱の放射線感受性の高い細胞である基底細胞を考慮した膀胱簡易モデルを構築し、光子,電子に対する基底細胞や膀胱壁全体の比吸収割合(SAF)をモンテカルロシミュレーションにより評価した。続いて、評価したSAFを用いてベータ線放出核種36核種について単位放射能あたりの標的組織の平均吸収線量を求めた。その結果、膀胱の線量評価をより正確に行ううえで、標的組織として基底細胞を考慮することや、ベータ線スペクトルを考慮した線量評価を行うことが重要であることがわかったので報告する。
比内 浩; 市毛 良明; 青瀬 晋一
no journal, ,
耐圧密閉容器に溶解試薬とともに内包したPuO試料をマイクロ波により加熱することで、高温・高圧条件による溶解促進方法を検討した。同法によるPuO2粉末の溶解試験を行った結果、常圧条件での外部加熱溶解と比較して約2分の1の溶解時間で溶解することができ、マイクロ波加熱による高圧溶解法が有効であることがわかった。
加藤 章一; 長谷部 慎一; 吉田 英一
no journal, ,
高速炉の確率論的安全評価の対象の一つとして、炉停止後の崩壊熱除去機能喪失事象が挙げられている。本研究では、このようなシビアアクシデントの評価における構造材料の強度評価に資することを目的として、高温におけるSUS304のクリープ強度データを取得し、現行の材料強度基準に採用されているクリープ破断式の825C以上における適用性評価を実施した。
志風 義明; 谷村 嘉彦; 三枝 純; 堤 正博
no journal, ,
20MeV以上の中性子エネルギーに関しては、中性子校正場が国内外で整備されていない。そこで、原子力機構・高崎量子応用研究所TIARAの数十MeV領域の高エネルギー準単色中性子照射場を利用して、標準校正場の開発を進めている。校正場を開発するうえで、フルエンスを精度よく絶対測定する必要がある。そこで、シリコン検出器と有機液体シンチレーション検出器からなる反跳陽子カウンターテレスコープを開発した。TIARAの中性子照射場において照射試験を行い、本検出器の基本性能を評価した。
竹内 正行; 小泉 務; 星野 国義*; 河村 文雄*
no journal, ,
フッ化物揮発法と溶媒抽出法のハイブリッド技術であるFLUOREX法では、フッ化物揮発法で大部分のUを揮発分離し、残渣側を酸化物転換後に湿式プロセスで処理を行う。その際、転換しにくい一部のフッ化物が残存し、湿式工程に同伴する可能性が高く、この同伴フッ化物の影響により、特に装置材料の腐食への影響が懸念されている。本件では、装置材料の腐食低減を図る方法の一つとして、Ni-Cr系合金を対象に硝フッ酸環境での耐食材料に関する基礎的な検討を行った。その結果、Cr含有量及び第三金属成分による耐食性向上効果を確認するとともに、0.2mm/y前後の良好な耐食性を得た。
天本 一平; 小藤 博英; 明珍 宗孝
no journal, ,
金属電解法による乾式再処理プロセス(以下、金属電解法)から発生する使用済み電解質(以下、廃塩)中の高レベル放射性廃棄物(HLW)の処理について、リン酸塩転換法の適用性を検討すべく、リン酸塩に関する熱力学諸量を整備し、獲られたデータを用いて解析を行ったところ、その有効性を見いだすことができた。
飛田 吉春; 山野 秀将; 守田 幸路*
no journal, ,
高速炉の炉心損傷事故における複合現象を構成する伝熱・流動・相変化等の素現象に対してCOMPASSコードの適用性を検証するため基礎検証計画を作成した。次に、現行の炉心損傷事故解析の課題を摘出するとともに、コード検証に適切な既存試験を検討し、総合検証計画を策定した。
中澤 俊之*; 室井 正行*; 本田 明
no journal, ,
TRU廃棄物処分において、アルカリ性の条件でセルロースの分解により生成する可能性が指摘されているイソサッカリン酸(ISA)について、OPCペーストに対する収着データを取得し、セメント間隙水中でのISA濃度への影響を検討した。
永沼 正行; 橋本 昭彦*
no journal, ,
実用化戦略調査研究では、MOX燃料炉と同等の高出口温度(550C)を指向した金属燃料高速炉を副概念として選定し、継続して設計研究を行うことになった。金属燃料の設計では、液相形成のため被覆管内面温度が650C以下に制限される特徴があり、熱設計は厳しくなる傾向にある。そのため、工学的安全係数(HSF)について合理化が必須であり、本報告ではワイヤコンタクト効果に着目した検討を行った。従来設計では、暫定的にMOX燃料と同等のHSFを適用し、金属燃料特有のギャップ部のボンドNaによる伝熱効果を考慮していなかった。また、保守的に冷却材ミキシング効果を考慮していなかった。これらの効果について3次元熱流動解析による定量的な評価を行った結果、Naボンド効果を考慮することで被覆管平均温度とピーク温度の差は50%程度、冷却材ミキシング効果を考慮することで30%程度低減されることが確認された。HSFについては、従来設計と同様条件の概略評価値1.91から0.6低減されることが示された。以上、ワイヤコンタクト効果にNaボンド、冷却材ミキシングの効果を考慮することで、HSFの合理化に有意に寄与することがわかった。
石島 暖大; 井岡 郁夫; 木内 清; 宇佐美 浩二; 加藤 佳明; 藤村 研*
no journal, ,
超高燃焼度燃料被覆管への適用を検討するため高純度オーステナイトステンレス鋼候補材料に対し日本原子力研究開発機構のJRR-3で照射(照射量:1.8dpa,照射温度:約290C)し、IASCC感受性と延性低下をリング引張試験により評価した結果、高純度オーステナイトステンレス鋼はIASCC感受性を示さず、著しい延性低下はなかった。
山外 功太郎; 川崎 将亜; 川松 頼光
no journal, ,
JIS Z4334(2005年改訂)で、表面汚染モニタ校正用線源に、これまでおもに利用されてきた天然ウラン以外の核種が推奨されるようになった。そのため、これまで天然ウラン面積線源を用いて校正されてきたモニタ類も、推奨核種による校正に順次移行することが望ましい。JISの改正に先駆けて、サーベイメータに関する検討は各方面で報告されている。しかしながら、モニタ類に関する報告例はあまりない。そこで、各種面積線源で校正した表面汚染モニタが、放射線管理の実務に与える影響の程度,その問題点を検討した。
菅原 隆徳; 西原 健司; 辻本 和文; 大井川 宏之
no journal, ,
ADSで使用されるビーム窓は、未臨界炉と陽子ビーム導入管の境界を成すため、非常に厳しい環境下での使用が想定されている。本研究では、腐食及び照射の影響を考慮しても十分に成立しうるビーム窓概念を提案するための予備検討として、現在の設計条件におけるビーム窓厚さの成立範囲を検討した。評価では「発電用原子力設備規格設計・建設規格」に基づき、クラス1機器としての成立性確保を目標とした。評価には、ビーム窓を中空の半球と見なした簡易モデルを使用した。検討の結果、ビーム窓厚さを2.0mm以上にすると挫屈に対する成立性は確保できるが、ビーム窓内の発熱が増加するため、材料の適用温度を考慮すると3.1mm以下にする必要があることがわかった。今回の挫屈評価は熱応力を考慮していないため、今後この点を考慮した詳細な挫屈解析が必要である。
西原 健司; 中山 真一; 大井川 宏之
no journal, ,
階層型分離変換技術の導入によって、高レベル廃棄物(HLW)から発熱性の核種,白金族、及びアクチノイド核種が取り除かれ、残ったHLWは従来技術であるガラス固化を適用可能である。このガラス固化体の発熱は従来HLWガラス固化体に比べて大きく低減されていることから、現在のTRU廃棄物と同様に大坑道に集積定置して地層処分する可能性を検討した。
根本 義之; 内一 哲哉*; 欅田 理*; 永江 勇二; 高屋 茂; 海老根 典也; 塚田 隆
no journal, ,
これまでの研究により、原子炉構造材のオーステナイト・ステンレス鋼の照射誘起応力腐食割れ(IASCC)を、き裂の発生以前に電磁気的手法によって予兆診断できる可能性が指摘されている。そのため、本研究においては照射誘起偏析によって生成する、結晶粒界における幅数nmのCr欠乏領域を熱処理によって模擬した試験片を用いて、高温水中低歪み速度引張り(SSRT)試験及び、導電率,静的/動的電磁特性の評価、また渦電流法,交流磁化法等による電磁気特性評価等を行った。高温水中SSRT試験によって得られた粒界破面率(SCC感受性)は偏析量に依存して上昇していた。また、偏析量に依存して渦電流信号の値が大きくなる傾向を示した。さらに動的電磁特性の評価の結果得られた比透磁率の値も偏析量に依存して高くなっていた。これらの結果から、IASCC感受性と電磁特性の相関関係の要因の一つが、結晶粒界における照射誘起偏析によるCr欠乏領域の生成である可能性が示された。